編著:早瀬昇・妻鹿ふみ子
発行年:2000年
行政職員がボランティアと協働して事業をすすめる際の手順や留意点をまとめた「協働マニュアル」。 ボランティアとは何か、協働の効果、ボランティア受け入れの準備、研修、評価、 リスク管理などを、具体的な項目や例を多用して詳述。
【編集】
早 瀬 昇(はやせ・のぼる)
1977年京都工芸繊維大学・工芸学部電子工学科卒業後、フランス・ベルギーの社会福祉施設(L'ARCHE)で研修を受け、1978年大阪ボランティア協会に就職。その後、大阪府立大阪社会事業短期大学専攻科修了。
現在、大阪ボランティア協会理事・事務局長、大阪大学人間科学部客員助教授、日本NPOセンター常務理事。熱烈な阪神タイガースのフアンでもある。
〈主著〉
『元気印ボランティア入門』(大阪ボランティア協会)
『ボランティア=参加する福祉』(共著・ミネルヴァ書房)
『基礎から学ぶボランティアの理論と実際』(共編著・中央法規出版)
『NPO基礎講座』(共著・ぎょうせい)
『知っていますか?ボランティアと人権一間一答』(共著・解放出版社) 他
妻 鹿 ふみ子(めが・ふみこ)
神戸女学院大学、同大学大学院で社会福祉、ソーシャルワークを専攻。大阪ボランティア協会ボランティアコーディネーター、九州福祉衛生専門学校専任講師等を経て、現在尾道YMCA福祉専門学校講師、新見公立短期大学講師、岡山県社会福祉協議会ボランティアセンター運営委員会委員長、岡山NPOサポートネットワーク代表。
〈主著〉
『基礎から学ぶボランティアの理論と実際』(共著・中央法規出版)
『日本のNPO2000』(共著・日本評論社)
『ボランティアコーディネーター自書1999−2000』(共著・大阪ボランティア協会)
他
【執筆者】(執筆順)
第1・2章 早瀬 昇
第1章コラム「ボランティア活動の現状」、事例4
飯田真友美(いいだ・まゆみ 大阪ボランティア協会)
第3〜8章、事例1〜3 妻鹿ふみ子
第8章コラム「ボランティア保険・ボランティア活動行事保険」
青木美知子(あおき・みちこ 大阪府社会福祉協議会大阪府ボランティアセンター 所長補佐)
【資料】 中村祐輔(なかむら・ゆうすけ 立命館大学政策科学部学部生)
【解説】
行政職員がボランティアと協働して事業をすすめる際の手順や留意点をまとめた「協働マニュアル」。 ボランティアとは何か、協働の効果、ボランティア受け入れの準備、研修、評価、 リスク管理などを、具体的な項目や例を多用して詳述。
はじめに
本書は、行政職員がボランティアと協働して事業を進める際の手順や留意点をまとめたものです。
近年、図書館や美術館などの公立施設がボランティアの協力を得たり、行政が主催するイベントでボランティアスタッフを募集したり、ボランティアグループとともに美化活動に取り組むなどといった形で、行政がボランティアとともに事業をすすめることが増えてきました。また、災害発生時にも、ボランティアとの協働が重要なことは、先の阪神・淡路大震災の貴重な教訓となっています。
そこで本書は、このような形で行政職員がボランティアと「協働」するにあたって、どのような考え方で、どのような手順で進めるべきか、またどのような配慮が必要なのかという点に関する実践的な解説書として企画されました。協働のあり方は、既存の行政施策・事業へのボランティアの受け入れや、民生委員などのいわゆる「行政委嘱ボランティア」、新規施策検討のための住民参加、NPOへの事業委託など様々ですが、本書では主に行政プログラムに一般市民をボランティアとして受け入れるあり方に焦点を当てています。
また、ボランティアやNPOは多様さに特徴がある存在ですから、過度に本書にとらわれず、状況に応じて柔軟に解釈し応用することが必要なことは言うまでもありません。
なお、本書は、大阪府福祉基金の補助のもと、1999年4月から9月にかけて大阪ボランティア協会を事務局として開催した「行政とボランティア・NPOの協働のあり方」研究会の成果を基にしています。日本での先行研究の少ない当分野の研究をともにしてくださった研究会委員の青木美知子氏、筒井のり子氏、巡静一氏、大阪府生活文化部男女協働社会づくり課ボランティア・NPOグループの皆様に、深く感謝いたします。また、ご多忙の中で快くヒアリング調査に応じてくださったNPO政策研究所・木原勝彬氏、大阪市社会福祉協議会・竹村安子氏、関西国際交流団体協議会・有田典代氏、地球環境パートナーシッププラザ・岡田泰華氏、長野県NPOセンター・市川博美氏、長野市ボランティアセンター・小林博明氏と同じく内山二郎氏、ボランティア交流センターながの・丸田藤子氏、大阪府のボランティア担当職員の皆様には多くの示唆を得、米国事例調査にボランティアとしてご協力くださった井川美紀氏、大島真智子氏、上林泰子氏、築地克己氏、永井慶太氏、研究会事務局と本書編集にかかわる様々な仕事に同じくボランティアとして活躍してくださった中村祐輔氏、近畿労働金庫から大阪ボランティア協会に出向していただいている法橋聡氏には大変お世話になりました。記して心からの謝意を表したいと思います。
2000年2月
早瀬 昇
妻鹿ふみ子
【目次】
第1章 理 解
1.「ボランティア」とは何者か
2.なぜ、ボランティアが注目されるのか
<コラム:ボランティアが支えた長野オリンピック>
3.ボランティアの弱点
<コラム:ボランティア活動の現状>
4.行政とボランティアの違いを認めよう
<コラム:災害時にボランティアが大きな役割を果たせる理由>
第2章 効 果
1.ボランティアがもたらすもの
2.行政の役割の変化
3.主体的な「市民」へ
<コラム:日本が行政主導型社会となった理由>
第3章 準 備
1.基本姿勢と風土づくり
2.協働のプロセス
3.組織としての受け入れ態勢
4.活動内容の明確化
<コラム:ボランティアの交通費、食費をどうするか>
第4章 募 集
1.募集方法
<コラム:ボランティアグループとうまく協働するには>
第5章 研 修
1.オリエンテーションの3要素
2.研修
第6事 実 施
1.定期的な活動−初日のボランティアへの対応
2.イベント時の対応
3.継続のためのスーパービジョン
4.トラブルを起こすボランティアへの対応
第7章 評 価
1.ボランティアプログラムのふりかえり(評価)
2.反省会とねぎらい
3.報告書の作成
第8章 リ ス ク
1.リスクマネジメントの考え方(リスクマネジメント理論)
2.リスクに対する責任の問題
3.ボランティアの不確実性というリスク
<コラム:ボランティア保険・ボランティア活動行事保険(大阪府の例)>
事 例
事例1:博覧会ボランティアが途中でリタイア、アルバイトスタッフに
事例2:スポーツ大会で運営ボランティアと市民応援団が活躍
事例3:屋外イベントが台風で中止、その時担当者は?
事例4:国際会議の支援で疲弊したボランティアのねぎらい
資 料
1.世界ボランティア宣言
2.自治体のボランティア支援・協働施策例
3.政府のボランティア支援・協働施策例
4.参考図書案内
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